秋から冬へ 名残りの茶室
この時期らしい掛軸を手に入れました。ネットオークションなので信じられないほどお得でした。現物を確認しない取引だけに商品が到着して包装を開けるまでドキドキします。さすがに傷みもありますがそれもまた掛軸の味になっています。箱には万葉集の歌とありましたが、調べてみると新古今和歌集の和泉式部の和歌でした。
「野辺見れば 尾花がもとの思ひ草
枯れゆく冬に なりぞしにける」
野辺を見ればススキの根元の思ひ草が枯れている。草木も枯れる冬ざれの季節になってしまったんですね。
思ひ草は南蛮キセルという植物だそうです。寒々しい枯野を見つめながら男性に振られたのでしょうか。心まで寒く震える寂しそうな女性の姿が情感深く浮かんできます。
文字だけの掛け軸でそこまで訴えかけてくるなんて、日本の文化は奥が深いです。